📖 生薬とは?
生薬(しょうやく)とは、植物・動物・鉱物などの天然由来の素材を、医薬品として使いやすい形に加工したものです。 漢方薬では、複数の生薬を組み合わせて一つの処方が作られます。
市販薬では、漢方薬のほか、胃腸薬、かぜ薬、のど薬、便秘薬、滋養強壮薬などに生薬が配合されることがあります。
ただし、生薬も医薬品に使われる成分です。 「天然由来だから安全」というわけではなく、体質、持病、妊娠中・授乳中、併用薬によって注意が必要な場合があります。
※このページでは、市販薬で見かけることがある代表的な生薬を、一般読者向けに整理しています。実際の効能・効果や用法・用量は製品ごとに異なるため、使用前にパッケージや添付文書を確認してください。
🔍 用語解説:基原(きげん)とは?
生薬の説明で出てくる基原(きげん)とは、その生薬が何を原料としているかを示す言葉です。 たとえば、どの植物のどの部位を使うのか、動物由来なのか、鉱物由来なのかといった情報が関係します。
同じような名前に見えても、基原や加工方法が異なると、医薬品としての扱いが異なる場合があります。 一般の読者が細かく判断する必要はありませんが、「生薬名=食品名と同じ」と単純に考えないことが大切です。
🧪 市販薬で見かける代表的な生薬
生薬は、単体で見るよりも、漢方処方や生薬製剤の中でどのような役割を持つかを確認すると分かりやすくなります。 ここでは、市販薬で見かけることがある代表的な生薬を整理します。
| 生薬名 | 市販薬での見方 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 葛根 カッコン |
葛根湯など、かぜの初期に使われる漢方処方に含まれることがあります。 | 葛根湯には麻黄や甘草も含まれるため、持病や併用薬がある方は処方全体で確認しましょう。 |
| 桂皮 ケイヒ |
かぜ薬、胃腸薬、婦人薬系の漢方処方などに含まれることがあります。 | 香りのある生薬で、シナモンに近い基原を持つものがあります。食品と医薬品では使い方が異なります。 |
| 生姜 ショウキョウ |
かぜ薬、胃腸薬、漢方処方などに含まれることがあります。 | 食品のしょうがとは異なり、医薬品では配合量や組み合わせを含めて確認します。 |
| 麻黄 マオウ |
葛根湯、小青竜湯、防風通聖散などに含まれることがあります。 | 動悸、不眠、発汗、血圧への影響などに注意が必要な場合があります。 高血圧、心臓病、甲状腺疾患、前立腺肥大などがある方は相談しましょう。 |
| 甘草 カンゾウ |
多くの漢方薬、かぜ薬、胃腸薬などに含まれることがあります。 | むくみ、血圧上昇、低カリウム血症、脱力感などを伴う偽アルドステロン症に注意が必要です。 複数の漢方薬やグリチルリチン含有薬との重複にも注意しましょう。 |
| 柴胡 サイコ |
加味逍遙散、柴胡桂枝湯、大柴胡湯などに含まれることがあります。 | 処方全体として、体力や症状の目安が設定されていることがあります。 自己判断で複数の漢方薬を重ねないようにしましょう。 |
| 当帰 トウキ |
当帰芍薬散、加味逍遙散、婦人薬系の処方などに含まれることがあります。 | 月経に関する不調や冷えなどの処方で見かけますが、妊娠中や出血に関する不安がある場合は相談しましょう。 |
| 芍薬 シャクヤク |
当帰芍薬散、芍薬甘草湯などに含まれることがあります。 | 芍薬甘草湯は甘草も含むため、こむら返りなどに使う場合でも連用や重複に注意が必要です。 |
| 茯苓 ブクリョウ |
五苓散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などに含まれることがあります。 | むくみや水分代謝に関する処方で見かけることがありますが、原因によっては受診が必要です。 |
| 沢瀉 タクシャ |
五苓散、八味地黄丸などに含まれることがあります。 | むくみ、めまい、尿に関する不調などで見かける処方に含まれます。 症状が強い場合は自己判断で続けないようにしましょう。 |
| 桃仁 トウニン |
桂枝茯苓丸、桃核承気湯などに含まれることがあります。 | 月経に関する不調や血の巡りを意識した処方で見かけます。 妊娠中や出血傾向がある場合は相談が必要です。 |
| 人参 ニンジン |
補中益気湯、六君子湯、胃腸薬、滋養強壮薬などに含まれることがあります。 | 食用のにんじんとは異なる生薬です。 胃腸虚弱や疲労感に関する処方で見かけることがあります。 |
| 黄連 オウレン |
胃腸薬や口内炎関連の漢方処方などに含まれることがあります。 | 苦味のある生薬です。 胃腸症状が強い場合や長引く場合は、市販薬だけで対応しないようにしましょう。 |
| 黄柏 オウバク |
苦味健胃薬や下痢止め系の生薬製剤などに含まれることがあります。 | ベルベリンを含む生薬として知られます。 下痢、腹痛、発熱、血便がある場合は自己判断で使い続けないようにしましょう。 |
| 桔梗 キキョウ |
のど薬、鎮咳去痰薬、漢方処方などに含まれることがあります。 | のどの痛みやたんに関する製品で見かけることがあります。 咳が長引く場合や息苦しさがある場合は受診を検討しましょう。 |
| 半夏 ハンゲ |
半夏厚朴湯、小半夏加茯苓湯、六君子湯などに含まれることがあります。 | のどのつかえ感、吐き気、胃腸症状などに関する処方で見かけることがあります。 症状が続く場合は相談しましょう。 |
| 酸棗仁 サンソウニン |
酸棗仁湯など、不眠や神経の高ぶりに関する処方に含まれることがあります。 | 眠れない症状が長引く、気分の落ち込みが強い、日常生活に支障がある場合は医療機関への相談も検討しましょう。 |
※生薬の働きは、単体だけで判断するのではなく、配合される処方全体や製品ごとの効能・効果として確認することが大切です。
🌿 特に注意したい代表的な生薬
生薬の中には、多くの市販薬に含まれるものや、体質・持病によって注意が必要なものがあります。 複数の漢方薬や生薬製剤を併用すると、同じ生薬が重複することがあるため注意しましょう。
| 生薬 | 含まれることがある処方・製品例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 甘草 カンゾウ |
葛根湯、小青竜湯、補中益気湯、加味逍遙散、抑肝散、防風通聖散、かぜ薬、胃腸薬など | むくみ、血圧上昇、低カリウム血症、脱力感、こむら返りなどに注意が必要です。 グリチルリチン含有薬や複数の漢方薬との重複にも注意しましょう。 |
| 麻黄 マオウ |
葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、防風通聖散など | 動悸、不眠、発汗、血圧への影響などに注意が必要です。 高血圧、心臓病、甲状腺疾患、前立腺肥大などがある方は相談しましょう。 |
| 大黄 ダイオウ |
防風通聖散、大柴胡湯、桃核承気湯、便秘薬系の漢方薬など | 下剤として働く生薬です。 下痢、腹痛、妊娠中、授乳中では注意が必要な場合があります。 |
| 附子 ブシ |
八味地黄丸、牛車腎気丸など | しびれ、動悸、のぼせ、吐き気などに注意が必要な場合があります。 用法・用量を守り、体に合わない場合は使用を中止して相談しましょう。 |
🔍 生薬を見るときのポイント
- 生薬単体ではなく処方全体で見る: 漢方薬では、生薬の組み合わせによって処方の特徴が決まります。
- 同じ生薬の重複に注意する: 甘草、麻黄、大黄などは複数の漢方薬や市販薬に含まれることがあります。
- 食品名と同じでも医薬品として確認する: 生姜、桂皮、人参など、食品としても知られる名前がありますが、市販薬では医薬品として用法・用量を確認します。
- 体質や持病に合わせて確認する: 高血圧、心臓病、甲状腺疾患、腎臓病、妊娠中・授乳中などでは注意が必要な場合があります。
⚠ 使用前に確認したいこと
| 確認したいこと | 注意する理由 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 複数の漢方薬・生薬製剤を使っている | 甘草、麻黄、大黄などが重複することがあります。 | 併用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。 |
| むくみ、血圧が高い、低カリウム血症を指摘されたことがある | 甘草を含む製品では、偽アルドステロン症に注意が必要です。 | 甘草を含む製品を使う前に相談しましょう。服用中にむくみ、脱力感、こむら返りが出た場合も相談が必要です。 |
| 高血圧、心臓病、甲状腺疾患、前立腺肥大がある | 麻黄を含む製品では、動悸、不眠、血圧、排尿への影響に注意が必要な場合があります。 | 麻黄を含む漢方薬を使う前に相談しましょう。 |
| 下痢しやすい、腹痛がある | 大黄を含む製品では、腹痛や下痢が出ることがあります。 | 便秘薬系や肥満症向けの漢方薬を使う前に、成分を確認しましょう。 |
| 妊娠中・授乳中 | 生薬や処方によって注意点が異なります。 | 自己判断で選ばず、医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。 |
| 高齢者、持病がある、複数の薬を服用中 | 体調変化や副作用、薬との重複に気づきにくい場合があります。 | お薬手帳を持参し、購入前に相談しましょう。 |
| 発疹、かゆみ、発熱、息切れ、空咳、強いだるさが出た | まれに、皮膚症状、肝機能障害、間質性肺炎などが問題になることがあります。 | 使用を中止し、医師・薬剤師に相談しましょう。 |
| しばらく使っても変化がない、悪化する | 製品が合っていない、または市販薬で対応しにくい原因がある場合があります。 | 漫然と続けず、医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。 |
💡 生薬名と漢方処方名の違い
生薬名は、漢方薬を構成する一つひとつの原料名です。 一方、漢方処方名は、複数の生薬を組み合わせた処方全体の名前です。
たとえば、葛根湯は「葛根」という生薬だけでできているわけではなく、葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗など複数の生薬を組み合わせた処方です。 そのため、漢方薬を選ぶときは、生薬名だけでなく、処方全体と使用上の注意を確認することが大切です。
❓ よくある質問
Q. 生薬は薬草のことですか?
A. 植物由来のものが多いですが、生薬は植物だけとは限りません。 動物由来や鉱物由来のものもあり、医薬品として使われる場合は品質や基原が定められています。
Q. 生薬は自然由来なので安全ですか?
A. 自然由来でも、医薬品として作用や副作用があります。 甘草、麻黄、大黄、附子など、体質や持病によって注意が必要な生薬もあります。
Q. 食品のしょうがやシナモンと、生薬は同じですか?
A. 名前や基原が近いものはありますが、市販薬に配合される場合は医薬品として扱われます。 食品として食べる場合と、医薬品として服用する場合では、目的や量、注意点が異なります。
Q. 生薬を多く含む薬ほどよいですか?
A. 多ければよいというものではありません。 漢方薬や生薬製剤は、症状や体質、成分の組み合わせ、用法・用量に合わせて選ぶことが大切です。
Q. 漢方薬と生薬製剤を一緒に使ってもよいですか?
A. 自己判断で併用することは避けましょう。 甘草、麻黄、大黄などが重複する場合があり、副作用のリスクが高くなることがあります。 併用したい場合は、薬剤師・登録販売者・医師に相談しましょう。
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▶ 漢方薬の代表的な処方について知りたい方は、 市販薬 成分辞典【漢方薬】 も参考にしてください。
▶ かぜのひき始めに使われる漢方薬について知りたい方は、 風邪薬①【ひき始め対策編】漢方で早めのケア も参考にしてください。
▶ 成分ごとの個別解説は、 市販薬 成分辞典 も参考にしてください。
🔚 まとめ
- 生薬は、植物・動物・鉱物などの天然由来素材を医薬品として使いやすい形に加工したものです。
- 市販薬では、漢方薬、胃腸薬、かぜ薬、のど薬、便秘薬、滋養強壮薬などに配合されることがあります。
- 生薬は単体ではなく、漢方処方や製品全体として確認することが大切です。
- 甘草、麻黄、大黄、附子などは、体質・持病・併用薬によって注意が必要な場合があります。
- 自然由来でも副作用がないわけではなく、用法・用量や成分の重複に注意が必要です。
- 持病がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢者、複数の薬を使っている方は、購入前に相談しましょう。
※ご注意ください
当サイトの情報は、市販薬の成分理解を目的とした一般的な参考情報です。 特定の生薬や医薬品の使用をすすめるものではなく、医師・薬剤師などの専門家による判断に代わるものではありません。
症状が強い場合、長引く場合、悪化する場合、使用に不安がある場合は、医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。